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~ガスから電気へ~誘導加熱導入企業様紹介vol.1

2021年、各種回転継手の焼嵌め工程において、ガスバーナーでの過酷で属人化した作業を電気(高周波誘導加熱)での作業にシフトしたリックス株式会社生産本部様。
現在は、ヒーターで行っている別の回転継手部品の焼嵌め工程を、同じく高周波誘導加熱での作業に切り替え検討中。
嵌め作業、加熱によるテンパーカラーの調整、加熱時間など、装置仕様の条件出しをすべく、熱産ヒートと共に検証実験を重ねています。
リックス株式会社様の業務改革のポイントと今後のものづくりの展望についてお話を伺いました。

SPECIAL INTERVEW 

”ものづくりのこれからについて~現場をこう変えていきたい~”

リックス株式会社生産本部にて 3つの方針①労働安全/衛生方針②品質方針③環境方針を掲げたポスターをバックに
リックス株式会社 常務取締役 生産本部本部長 芹川康介様 & 熱産ヒート株式会社 代表取締役社長 川口千恵子

■■リックス株式会社生産本部様(福岡県須恵町)■■ 

課題解決型 「メーカー商社」
1907年(明治40年)創業。
足袋の販売から始まり、地下足袋を官営八幡製鉄所に納めたのをきっかけに、鉄鋼業界をはじめ各産業界にビジネスの場を広げていく。
商社とメーカー、二つの顔を持ち、こちらの工場では回転継手をはじめとする、生産設備で使用される製品等を製造している。


別の部品の焼嵌め作業への展開について話をする製造部の皆さま

—————–

川口
今回弊社の高周波誘導加熱装置をご検討いただいたのは以前のお取引のご縁がきっかけだったんですよね。
芹川 
30年前にわたしが製鉄関係の仕事を受け持っていた時代。熱産ヒートさんのことを知りました。
ロール予熱の仕事などで関わっていたかと思います。
そのあとは、ずっとお付き合いもなかったのですが、2年前にわたしがこの工場へ赴任してきまして。現場の視察をして回ったんです。
そうしたら、「なんでこんなことしてるの?」と気になることがたくさんあった。いろいろと指摘事項を出していったのですが、そのなかで、加熱をする作業をどうにかできないかな、と考えたときに、熱産ヒートさんのことをなんとなく思い出したんです。

川口 
思い出していただいてありがとうございます!
熱に関する工程をお手伝いするのがわたしたちの仕事なので、たいへん光栄です。
でも、そもそも芹川さんが現場を見て回ったときに、「なんで?」「もっとどうにかできないの?」という気づきがあったということが原点なんですよね。

芹川 
いや、(ガスバーナーを使った作業が)ほんとに危険だったんですよ。
よくあんな作業してたよなあ。なにも疑問に思わず。
(笑いながら、部長の藤田さんへ語りかける)
藤田 
そうするのが当たり前と思いこんでいましたね(笑)

      リックス株式会社生産本部製造部部長 藤田様

芹川 
だけど、事故や怪我は防ぎたい 
うちはロータリージョイントなど何万回転もするようなものを製造しています。
その製造工程で、回転物で手を切ったりしかねない。
だから、常に最優先事項となるのが、「安全」なんです。
川口 
コストや作業効率よりも一番に「安全」なんですね。
それは社員さんにとっても最高の職場環境ですよね。
芹川 
はい、何よりも安全です。
まあ、そうは言っても、もちろんコストメリットも出てるよね?
(再度、笑いながら藤田さんに語りかける)
藤田 
出すつもりで進めております(笑)
まあ、メリットと言えば、作業時間の短縮も効果としては大きいですね。
作業場に人が付きっ切りにならなくてよくなりましたし。
現在、高周波誘導加熱導入第二弾として、ヒーターからの切替検討に取り組んでいる回転継手部品の誘導加熱処理は、生産量も圧倒的に多く、さらにメリットが出ると期待しています。 
芹川 
うちの工場は24時間冷暖房完備ですが、ヒーターでガンガン加熱しながら作業すると、夏場は冷房入れても暑くなっちゃいますよね。それだと冷房費が余計かかってしまう。
だけど、高周波誘導加熱だと暑くならないでしょ。
省エネに繋がりますよね。
まあ、こじつけかもしれないけれど、でもわざわざ暑い環境を作る必要はないですよね。


before
従前は、ガスを使う作業のため建屋外の専門作業場を利用。
夏場は外気とガス加熱の放射とで高温下での作業となっていた。
また、作業場を離れることができず、時間のロスが生じていた。


川口 
逆に、高周波誘導加熱を検討時に、ネガティブな意見というか、デメリットについての声は上がりませんでしたか?
芹川 
私が言い出しっぺでしたから(笑)
逆に、「早よせんかい」と言ったくらいです。
川口 
上層部が新規設備導入に積極的であることは、現場の人間にとってとても喜ばしいことですよね。
費用対効果など目先の数字のみで判断されがちですので。
では、そのあと導入後、ご利用になられて感じられることは?
芹川 
(藤田さんへ)どう?
藤田 
何よりも、(温度制御が可能になったので)作業が誰にでもできるようになったことが大きいですね。
それまでは加熱時の焼き色で判断していたんです。
加熱不足でもだめ、過剰でもだめ。
芹川 
そういう意味でデジタル化だよね。

川口 
デジタル化という言葉が出ましたが、リックスさんの様々な発信を拝見していると、ITとかAIに注力されていて、ソリューションの可能性を広げようとしている印象をすごく受けました。
そんな中、多岐に渡るフィールドの中で最も重要視していることは何ですか?
芹川 
仰る通り、わたしたちの事業は鉄鋼、自動車、半導体、など様々なので、業界別に戦略を立て尖らせる。
そして、それをアップデートしていっています。そういうビジネスモデルを得意としています。
川口 
どのように見直しをされるんですか?
芹川 
20年前にカスタマイズで運用を始めたSFAがベースとなっています。業界ごとに情報を蓄積しています。
さらにそれをVA・VE提案にまで落とし込んで、それを営業がまた持ち出しPRしてくるのです。
当時はまだSFAが出だしの頃でしたが、安井龍之助社長の導入したいという強い意志が有り、プロジェクトを組んで一緒に立ち上げたんです。
弊社ではそのシステムを「Monju」と名付けてます。この名は『文殊の知恵』に由来しています。
その中に提案書を作成し、誰もが営業活動に活用出来る仕組みを作ったのが、何を隠そう私なんです。(笑)
川口 
横展開、ですね。
すごいです。どういうことをきっかけにSFA開発に取り組まれたのですか。
芹川 
わたしは「課題解決」がもともと好きなんですね。
で、若いころ、営業活動での事例を発表していたのですが、それが全く活用されないんです。
もったいないな、と常々思っていました。なんでこの成功事例を活用しないんだ、と。
営業マンが成功体験を共有することが、次につながる。その思いがSFAの立ち上げにつながりました。
実際、事例の活用で大きな成果を得られましたよ。
川口 
大変勉強になります。弊社も遅ればせながら、最近やっとCRMを導入し運用を始めたところです。
なんとかうまく活用できるよう精進いたします。

川口 
それでは話は戻りますが、導入して、いちばん良かったことは?
藤田 
過酷な現場環境が改善されたことですね。今はエアコンが設置されてかなり環境は改善されていますが、以前は真夏には、塩飴を舐めたり、保冷剤が入ったベストを着たり、なんてこともしていました。
導入により、工場内で作業ができ、バーナーによる放射熱の影響もほぼなく、さらに快適になりました。


after
誘導加熱処理へのシフトにより工場内の一画での作業が可能に。加熱中、加熱完了、などが遠目にも分かるパトランプ等のお知らせ機能を付けた設計。ワーク以外は熱くならないため、作業も快適に。


川口 
作業環境の改善ですね。今年も夏がやってくるので、是非その効果を体感していただきたいです。
芹川 
わが社は、今年2022年4月にISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)を取得したんです。ますます職場環境に関する意識を高めていかなければなりません。
川口 
はい。大変勉強になります。いますぐという余裕はありませんが、弊社も勉強して参ります。
では、さらに改善事項として求められることはありますか?
藤田 
最終的には「自動化」までいきたいですね。現在すでにロボットを使っている工程もあり。
今回の焼嵌めなんかもロボット化が理想なんですが、熱を使う作業はなかなか難しいですね。
川口 
様々なワークがあるということですが、高周波誘導加熱で、更に展開できそうですか。
芹川 
いま、(誘導加熱導入の)第二弾で検討しているロータリージョイント。これは、工作機械の刃物の先端からクーラント液を噴射する 用途で使われるのですが、これの焼嵌めなんかには結構使えそうですね。
   

うちは、山田商店という足袋屋から始まっていて、まだ安全靴が無い時代に足袋の裏にゴムをライニングし、地下足袋を作ったんです。それを官営八幡製鉄所に納入し始めたのが産業界へ進出するきっかけと聞いています。
その当時、ベアリングのオイルシールって皮で作られていたんですが、それをゴム製に変えたのがわが社なんです。この様な回転体のシール技術が現代にも引き継がれているという事なんです。
川口 
回転物って、いろんなフィールドに展開できそうですね。
芹川 
そうなんです。トンネルを掘るシールドマシンなんかにも使われます。
わが社は大小様々な回転継手を手掛けています。

インタビュー中

興味津々で前のめりになり、
ついつい距離が縮まっていく。。。

川口 
今後の取組で注力されることは?
芹川 
内製化を進めることで、品質確保短納期化コスト削減を進めていきます。
昨年導入した今回の高周波誘導加熱装置(HEARTS Heater)に投資した分、回収もしっかりとしないとですね。
生産管理システムも新しいものに入れ替える予定です。組織が縦に分断されがちなので、うまく回るように、次の工程に責任を持ってバトンを渡す、そういう体制づくりに力を入れたいと思っています。

川口 
最後にお聞きしたいんですが、話がもとに戻って恐縮ですが、加熱処理の検討でわが社を思い出していただいたのは、なにかポイントがあったのでしょうか。当時のお取引きでなにか印象に残ることがあったとか。
芹川 
うーーーん。特にはないんですが(笑)
自分が北九州出身で、こんな会社があるな、て、記憶に残ってたのかな。
あと、誘導加熱について当時あまり知らなかったんですが、何かで見たときに、鉄の塊が瞬時で真っになるのを見て、これはすごいな、と。
それは鮮明に記憶されていて。
あと、珍しい会社名ですしね(笑)。
川口 
暑くるしい名前ですよね。
熱を産み出して、さらにヒートですからね(笑)
それでも、思い出していただけたことが今回のご縁に繋がりました。
名前に感謝です。
今後もいつでも思い出していただければ幸いです。
本日はどうもありがとうございました。

リックス㈱生産本部様
   誘導加熱導入にあたっての動き、こだわり 
   ◇「手間を減らし省力化を進めよ」の方針
   ◇  労働安全衛生への取組推進
     2022年4月
     ISO45001労働安全衛生マネジメントシステム取得
   ◇環境保全への取組み
     電気・ガス・水道など各種消費量、廃棄物量の削減推進
     ガスやヒーターを使った作業の改善による省エネ推進



熱産ヒートの誘導加熱技術が
ガス→電気への作業移行をお手伝い
安全・作業環境改善・省力・
標準化(デジタル化)・省エネ